2014年4月23日水曜日

時を超える美しさ





この鋏を見たとき、その美しさにはっとしました。

余計なものが何一つない、素朴な鋏。

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「飛行機のみならず、あらゆる人間が作り出した物
において、ある原理が存在することを考えたことが
あるだろうか?
物を作る上での人間の生産活動、計算や予測、図面や
青写真を制作するために費やした夜などはすべて、唯一
にして究極の原理『シンプリシティ(単純性)』を追求
した物ができ上がることで完結するということを。

そこに達するためには、まるで自然の法則が存在
しているかのようだ。
つまり、家具、船の竜骨、飛行機の胴体などの曲線を
人間の胸や肩の曲線が持つ根源的な純粋さに少しでも
近づけようとするために、職人たちは何世代にもわたって
試行錯誤を重ねるべきであると。
何においてであれ『完全』とは、すべてを脱ぎ去り、
ありのままの姿に戻ったとき、つまり、加えるべきものが
なくなったときにではなく、取り去るものがなくなった
ときに達成されるのである」

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フランスの飛行家アントワーヌ・ドゥ・サンテグジュペリの
デザインに対する考え。
その考えを体現するような鋏だと感じました。

この鋏は種子島で1000年以上続く1軒の鍛冶屋で作られて
います。昔ながらの木炭で火をくべて鉄を打っているため、
一日に4〜5本しか作れないそうです。

手にすると、軽くもなく、重くもない程よい重量感。
もちろん、切れ味は抜群。

かつては多くあった種子島の鍛冶屋も、純粋な手仕事の
鍛冶屋は現在「牧瀬種子鋏製作所」一軒のみ。
その一軒も跡継ぎがいないため37代で絶えることが
決まっているということです。
ただ、外弟子の方はいらっしゃるのでどこかでこの技が
伝承され続けていくことを切に願います。

鋏は古代から使われ続けてきた人間にとって欠かせない
道具。手を使う道具だからこそ、手仕事の温もりを
感じながら大切に使い、いつか子供に譲るつもりです。

「シンプリシティ」。「加えるのではなく取り去ること」。
人間がこの原理に立ち戻るべき時がきているのではないかと
思います。

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